美味しく水質の良い天然水を使い冬の自然の厳しい寒さを利用して自然に凍る天然氷。
その日本の昔ながらの伝統技術を継承しています。
天然氷を作るための池は、深さ約0.7mで、日中でも陽が差さない山陰に作ります。八義には大池と小池の二つの池をつくりました。 池に水を張る12月中頃までは、池の手入れをします。氷は自然の寒さで凍り、池の上から下に厚みを増して凍っていくのですが、不純物が氷に吸収されないように、木の葉や、ゴミをとり、何度も掃除を繰り返します。 こうしてきれいに清掃された池に、水を入れます。
その後、すぐ氷を作り始めるわけではありません。この頃の寒さでも夜間、時折部分的に氷が張ってしまうこともあるのですが、それでは氷らなかった部分から池の中にどんどんゴミが入ってしまいます。夜間の気温が十分下がらないうちは中途半端な氷が貼らないように、ずっとずっと水をかき回し続けます。(手作業です!)また、中途半端に張ってしまった氷は何度も割続けるのです。
そうして準備して迎える冬至を過ぎた頃、そろそろ気温も十分下がり、朝方、まるで池にラップをかけたようにピチっと池全面に氷が張り、ようやく氷作りが始まるのです。それでも日中の気温が高くなりすぎて氷が解けてしまったり、雨がふってしまったら、よい氷は作れません。また寒すぎても急激に氷が成長し硬い結晶のよい氷ができません。残念ながらそのような場合は、氷を一度すべて割って流し、また一からやり直すことになります。納得がいく氷が張るまで、何度でも何度でもやりなおします。固い氷を作るのに適した気温はマイナス5℃~マイナス8℃、この気温はその土地の地形などに関係があります。
納得がいく氷が張り始めたら、毎朝、氷の上の掃除を行います。氷の上の清掃は、雪を氷の上に撒き、箒で掃きながら、雪にちりやほこりを巻き込んでいきます。 ちりやほこりがあるときには、雪の色は汚れています。雪の色が白くなるまで、何回も行います。
氷を張っている間、雪が降ると、氷の上の雪かきをします。これは、雪の温度は氷作りにとっては高い温度なので、雪により氷が溶けて氷が傷んでしまうからです。
こうして、2週間~20日かけて凍らせ、氷の厚さが14~15㎝になったら、切り出しという作業をする時期を待ちます。
切り出しは、池に張った氷を、タテ48㎝、ヨコ75㎝の大きさに切る作業のことで、寒い日が続かないとできません。
切り出しが行えそうな日の前日には、氷の上に目印のラインを引きます。
そして当日には、このラインにそって、動力カッターにより、切り出し作業を行います。
ここで切り出された氷1枚の重さは、約40kgもあり、小さい池で約1000枚の氷を切り出します。
切り出された氷は、あらかじめ組みたてられた、竹でできたレールの上を滑らし、氷室(ひむろ)の中へと運びます。
そして竹の節はスピードを調節してくれます。
氷室の中では、1枚の氷に対し、3枚のふた氷を乗せ、積み重ね、杉のおがくずで囲い保管します。 おがくずは、周りの温度を吸収し、発散するので、氷の表面も乾き、この方法により、約1年間、天然氷は保管ができます。
保管された大鋸屑が解けだした水とともに再び凍りひんやりとした空気のなかで保管されています。それでも天然氷は5月ごろには約半分くらいまで溶けてしまいます。
春になるころから大鋸屑に埋もれた中から氷の板を引っ張り出し、その都度一つ一つ丁寧に洗い表面の汚れや大鋸屑を落とします。業務用の大きな氷用カッターに運び、一つの氷板から8個ほどに分け、かき氷用の1貫目にカットして、出荷します。